すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

「モトカレマニア」は面白くはないけどすごいドラマ。

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視聴率が芳しくないのも正直納得な内容。元彼や元カノを引きずった登場人物達が毎回毎回特に進展もなく同じところを行ったり来たりしてグダグダグダグダしてるだけのドラマである。アクの強いキャラクターがいるわけでもなく、物語を牽引するような存在感のキャラクターもいない。主要メンバーの女性キャラはみな一様に洗練された都会的な佇まいで、可愛い美しいしか感想が出てこない。男性は現代的なキャラ設定なのか押しの強い人物はおらず、みんな優しくて控えめで優柔不断だ。個性がないのが個性ですと言わんばかりの薄味キャラのオンパレードである。

じゃあ観るなよと言うなかれ。ストーリーは面白くないが、しかしこのドラマはものすごく挑戦しているのである。昨今恋愛ドラマは視聴率が取れないと言われ、恋愛に色んなものをくっつけるしかなく純粋な恋愛ドラマはほとんど作られていなかったと思う。しかしこの「モトカレマニア」はそこに真っ向勝負したのだ。このドラマはコメディーという形式を借りつつもへんなネタに逃げずに『恋愛』というものだけをしっかりと描いている。人間的成長とか、家族問題うんちゃらとか、恋愛プラスお仕事ドラマだとか、あり得ないファンタジーとか、富豪と貧乏人の格差恋愛なんちゃらとか、もうそんな余計なものは一切ないのである。ただ愚直に『恋愛』とだけ向き合った、人が人を好きになることのみに特化した純粋な恋愛ドラマなのだ。そんなある意味覚悟を持って作られた脚本と演出、それに真摯に答えようとするキャストのお芝居に、面白くはないのに妙に心が惹きつけられる。ただただこのグダグダした恋愛模様を最後まで見届けるぞと、わけのわからない使命感に駆られるのである。

きっとこれからも視聴率は良くないだろうし、劇的に話が面白くなることもないだろう。でも中途半端に視聴率を取ろうとして色々詰め込んだ中途半端に面白いドラマより、この「モトカレマニア」はよっぽど魅力的なすごいドラマなのだ。

「グランメゾン東京」が面白い。

今期のドラマで次回を1番楽しみにしているドラマ、それは「グランメゾン東京」だ。いい具合に力の抜けた木村拓哉とその周囲を固める盤石で調和のとれたキャスト、はっきりした王道ストーリーながら毎回続きが気になる展開に持っていく脚本、その全てをまとめあげ魅力を存分に引き出す演出、どれをとっても最高なのだ。そして何よりドラマとしての質量みたいなものが重すぎず軽すぎずでストレスフリーなのが良いんだけれど、この感覚は伝わるだろうか。例えば「ドクターX」系は浮世離れし過ぎていて物語に入り込めずにスーっと引いていくような感覚で観てしまうし、人生に立ち止まった系のヒューマンなドラマはどんなに面白くても観た後にどっと疲れてしまうし、事件解決ミステリー系のドラマは事件自体に面白みがないと後味が中途半端なんだけれどミステリー物のトリックが飽和状態で見慣れた展開かあまりにトリッキーな展開でストーリーか雑になるとかが多いし、恋愛系はあまりに遠い距離感でしか観ることが出来なくてキュンキュンどころか逆にむなしくなっちゃうしで、どんな方向からもストレスが襲ってくるのである。そのストレスを凌駕するほど面白いドラマはその分どっぷりハマったりするのだが。

そんな中で「グランメゾン東京」は、王道ながらもワクワクがあり、登場人物がとにかく前を向いていて、しかしポジティブ過ぎるわけでもなくて適度に闇もあり、ミステリー要素を前面に出さずさりげなくしかしストーリーの重要な位置に配置し、悪役が気持ち良いほどに悪役なくせにやり過ぎ感はなく、それぞれの得意な能力を活かして何かを成し遂げていくというRPG的パーティー感ががんがんカタルシスを高めていって、その上大人の恋愛模様も程よく匂わせて、もうあらゆる意味でストレスフリー、つまり絶妙。来週を観るのが楽しみ!!って毎回思わずにはいられない良作なのである。ドラマを観る楽しみはこれだよ醍醐味はこれだよって久々思い出したドラマだよ。でもきっとこんなにワクワクするのは主役がキムタクだからなんだよな。キムタクの存在がワクワクを何倍にも押し上げているんだよな。スーパースターっていうのはそういう力がある存在なんだなあって、改めて思う。キムタクすごい。

これからも毎週日曜日の21時が楽しみでたまらない。

Netflix「クィア・アイ in Japan!」

 

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連ドラの録画をしこたま溜めて、ろくに感想も書かずに何をしているかといえば、朝ドラ「スカーレット」を観るか、このNetflixの人気コンテンツ「クィア・アイ」をシーズン1からひたすら観ているのであります。子供が寝たあとの限られた時間の中、秋ドラマでも映画でもなくクィア・アイです。そう、ハマっております。未見の方に簡単に紹介すると、どこかのワイドショーでやっていた「亭主改造計画」のアメリカバージョンであります。違いは、対象は老若男女で既婚者も独身者もいるし、異性愛者も同性愛者もいること、改造を担当するのが通称ファブファイブという5人で、その5人は全員ゲイということ。

メンバーをざっくり紹介すると、画像の向かって1番右がファッション担当のタン、右から2番目がフード&ワイン担当のアントニ、水原希子を飛ばして右から3番目が美容担当のジョナサン、ジョナサンの隣りが文化担当のカラモ、1番左がデザイン担当のボビーである。とにかく全員キャラが濃い。そして各分野でそれぞれがとてつもなくプロフェッショナルなのである。毎回驚くべき変貌を遂げる対象者だが、ファブファイブが1番変化を起こすのは、見た目ではなく対象者の“心”なのだ。そして、それが如実に表れていたのが、最新作「クィア・アイ in Japan!」なのである。

どの国に生きる人々も、それぞれに悩みを抱え、自信がなく、日々葛藤しながら生きていることに変わりはないと思う。しかし欧米人は何というか基本的で最低限の『自分はこの世に存在していていい』という感覚はみな持ち合わせている気がするのだ。自分の存在は認めた上で、うまくいかない人生に四苦八苦していて、なのでストレートに見た目やインテリアや物事が上手くいく方法なんかを身につけて、それで自信を回復していったりポジティブになれることも多いのだ。しかしin Japanに出てくる対象者の日本人は全く違う。最低限すらないのだ。自分がこの世に存在していることにさえまるで罪悪感を抱いているようで、見ていて本当に辛くなってしまう。それはきっと日本の謙遜の文化であるとか、空気を読むという独特の世間の圧力であるとか、長い間家父長制度であったこととか、色んな要素が影響しているのだろうし、この「存在自体が心許ない」という感覚は自分自身にも覚えがあり全く他人事なんかじゃないのである。そんな本当に生きているのが辛そうな4人の対象者達をファブファイブは優しく包み込む。彼らの何回もの心からのハグ、真剣な眼差しで話を聞いてくれる姿、あなたはそのままで素敵だよってありのままを認めてくれること、自分らしさを表現することの素晴らしさを少しずつ伝えてくれる言葉達。そんな風にファブファイブが全肯定してくれる中で少しずつ自信が生まれ(取り戻すではなくて生まれるのだ)、その上でファッションやヘアメイクやインテリアや料理が、更なる自信を生み出して、対象者が文字通り“生まれ変わる”瞬間を映し出している。多少の演出はあるだろう。演技的な部分もあるかもしれない。それでも、キラキラと輝き出すin Japanの対象者4人に惜しみない拍手を送りたいと思う。勇気を出して踏み出した新しい一歩をいつまでも応援したい。そして、自分自身も少し勇気を出そうと思えるのだ。何かとバッシングを受ける水原希子や、個性的なビジュアルの渡辺直美が出演することで番組全体の説得力も増して、この2人のスタイリッシュさとファブファイブのそれがマッチして、もうあらゆる角度から最高なのだ。

個人的に1番グッときたのは、エピソード4の誠人がファブファイブに勇気を貰って切実な自分の不安を妻に打ち明けるシーンだ。打ち明けたあとの誠人の姿を思い出して今でも泣きそうになる。

Netflixを観ることが出来る人はぜひ観てみて下さい。きっとライトにもヘビーにも観ている人達の心に、日本人に、響く番組だと思うのですよ。

「スカーレット」に心が持っていかれる日々。

朝ドラ「スカーレット」観てますか?毎日毎日、戸田恵梨香の爽やかな笑顔が見られ、登場人物の一人一人を丁寧に描写することで物語に奥行きがあり、ご都合主義ではないストーリー展開で視聴者を魅了し、そしてとてつもなくえげつない物語となっております。

主人公喜美子(戸田恵梨香)の立場で言わせてもらうなら、悲惨の一言です。もちろん朝ドラなので、どんな苦難にも前向きに立ち向かって行く姿が描かれております。おりますけれどもね、悲惨過ぎてそんな前向きな喜美子の笑顔が、もう逆に悲惨さを強調している始末です。毎日泣いております。感動の涙ではない。言うなら「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観たときの涙です。それでも救いがあるのは、この先喜美子が陶芸家としての道を切り開いていくということが分かっているからだけれど、モデルになったであろう人物の生涯を見てみると、いやいや嘘でしょっていう出来事がこの先もいっぱい待っているわけでね。もう、心して観るしかないのです。しかも、戸田恵梨香があまりにも人間味溢れる魅力溢れる喜美子を作りあげているので、喜美子の気持ちを考えてもう胸を掻き毟られるような思いで毎日心が持ってかれてしまうわけです。この朝ドラだけでかなり体力を使い、他の連ドラをじっくり観ることが出来ない。困ったなあ。いやでも、このままぜひ駆け抜けていって欲しい。えげつないけれど観ないのは勿体ない名作の予感ですよ。

今のところ観た2019秋ドラマの感想

個別に感想を書いていない秋ドラマの感想。

 

月22 テレ東「ハル〜総合商社の女〜」

妙に物分かりのいい子供、仕事しながら家事も完璧にこなすパーフェクトさ、ヘッドハンティングされるほどの有能な人材、とことん前向きな性格。主人公の設定がファンタジー過ぎる上に展開もご都合主義なファンタジーで個人的に期待していたドラマとは真逆だったもんで1話ですっきりと離脱いたしました。

 

火21 フジテレビ「まだ結婚できない男

んー面白い。面白いけれど、令和のこの時代に収入があって、1人の時間も楽しめて、偏屈なところもあるけれど孤独ではない男は、どうぞそのまま独身ライフを満喫して下さいとしか言いようがないというか、昔ほど結婚していないことが切実な悩みには見えなくなってしまっているからなあ。桑野(阿部寛)らしさを楽しみつつも、どこか物足りない。毎週観るけれども感想を書きたくは今のところならない。

 

水22 日テレ「同期のサクラ」

予想通りというか、予想を超えてはくれないというか、相変わらずの遊川作品という印象でした。サクラを演じる高畑充希は素晴らしいなと思いつつ。

 

水2412 テレ東 「死役所」

死後の世界を舞台にしたヒューマンドラマ。死ぬとこの死役所で手続きをしなければならない設定で主演の松岡昌宏はそこで総合案内として勤めている。黒島結菜清原翔松本まりかと旬な俳優が何気にたくさん出ており、でんでんや余貴美子らベテランが脇を固めている。毎回のゲストも豪華で基本は1話完結のエピソードを描いているんだけれど、松岡達死役所の職員が現世でどういう死に方をした人達かとか、気になる点がたくさんあってなかなか面白くなりそうなドラマだ。ただ一点、死んだ人達が死役所内をうろうろうろうろしてるんだけれどなぜか若い人ばっかりで割合的には老人ばっかじゃなきゃ不自然だよってどうしても気になっちゃいます。

 

木22 フジテレビ 「モトカレマニア」

面白いか面白くないかで言えば面白くはないけれど、なんだか演じてる役者さんがみんな楽しそうなのでついつい観てしまう。展開には全く興味は湧かないけれど、新木優子と浜野謙太が可愛いので毎週観ます。

 

金22 TBS 「4分間のマリーゴールド

手が触れるとその人の死の運命が見えるだとか、血の繋がらない姉が好きだとか、その姉が1年後に死ぬ未来が見えているだとか、なかなかにドラマティックな設定だと思うのだけれど、思いのほか物語は淡白に進んでいく。福士蒼汰が淡白だからそう感じるのかなあ。ドラマに奥行きがないというかなんというか。

 

金22 NHK 「ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜」

面白い。ただまだ1話しか観ていないけれど、失敗学というものの面白さとか魅力とかがいまいち伝わり切らないので、ちょっとだけしっくりこないのだ。話数を重ねるうちに馴染んでくるだろうか。

 

金2315 テレ朝 「時効警察はじめました」

オダギリジョー麻生久美子も変わってないなあ。ゆるく観るには最適なドラマです。

 

土21 NHK 「少年寅次郎」

録画して未視聴。評判良さげで観るのが楽しみです。

 

日21 TBS 「グランメゾン東京」

お馴染み日曜劇場の鉄板ストーリーとキムタクと料理の組み合わせが意外に良いです。嫌なやつのキムタクは見ていて楽しいし、どんどん仲間を集めていくRPGみたいな展開もワクワクするし、芸術的な料理がたくさん出てくるし、脇の鈴木京香沢村一樹も魅力的。感想は書かないけれど毎週楽しみにしています。

 

日2230 日テレ 「ニッポンノワール

予想はしていたけれど、やっぱり1話で脱落しました。過激な描写?と謎が謎を呼ぶ展開は、観続けていたらそれなりに続きが気になってくるのかもしれないけれど、全然面白くないのに黒幕が誰なのかを知りたいだけに毎週観るのは時間がもったいないような気がするよ。

 

月〜金 NHK 朝ドラ「スカーレット」

面白い!丁寧に人と人との関係を紡いで、少しずつ成長する喜美ちゃんを観るのが本当に毎朝楽しみ。戸田恵梨香が抜群に良いのだ。醸し出す雰囲気もひとつひとつの表情も、しぐさも、もう何もかも好きです。これから出てくるであろう相手役が誰かも気になるし、波乱万丈らしい人生を喜美ちゃんがどんな風に乗り越えていくのか、それを戸田恵梨香がどう表現するのか、楽しみがいっぱいです。 

 

以上今のところ観た2019秋ドラマの感想でした。

シャーロック 3話 感想

何というか、色々過程を吹っ飛ばしているような強引な展開ながらもまあいいかっていう気持ちになってしまう不思議なドラマよな。とにかく獅子雄(ディーン・フジオカ)のキャラに特化しております。

なんで獅子雄はそう思ったのかとか、獅子雄はいつから全貌を把握していたのかとか、そういう細かいところは気にしない気にしない、だって獅子雄は天才シャーロックだからっていう感じでどんどん進んでいくのでね、視聴者としてもそれを受け入れる所存です。細かいところは気にしません。

とりあえず今回は宿敵モリアーティ教授と思われる守谷の存在が明かされたことがハイライト。守谷の役は誰が演じるんだろうなあ。楽しみ。

俺の話は長い 2話 感想

「焼きそばと海」

報酬5000円で満(生田斗真)が春海(清原果耶)を学校に行かせる回。あなたには言われたくないの最上級である満が説得を試みるも案の定春海に返り討ちにあうのが面白い。それでも美味しい焼きそばとプライドに訴える満の言葉で学校に行く春海は健気で可愛く、親友に好きな人を奪われてしまったという切実な事情と中学校3年生という絶妙な年代が重なって何とも言えないノスタルジックな気持ちになってしまいます。見事な話術で綾子(小池栄子)から6000円をせしめる満とそれに羨望の眼差しを向ける光司(安田顕)で笑わせておいて、最後は海で泣かせるなんて。清原果耶の涙の流し方が最高だ。本当に、人生の大事なことは誰も教えてくれないよなあ。

 

「コーヒーと台所」

近くにいる家族といない家族の微妙な距離感の回。満が毎朝5時半に房枝(原田美枝子)にコーヒーを入れている事を知った綾子はコーヒー屋に未練があるからだとか、お母さんは満に気を使って無理して起きてるんだとか執拗に満に言う。 房枝と満が共有してきたこの特別な時間が綾子にはどうにも許せなかったんだと見えてしまうが、どうなんだろうな。綾子はきっと小さい頃から親にも誰にも弱音を吐けない子だったんじゃないかなあとか、きっと辛いこと色々1人で歯を食いしばって乗り越えてきたんだろうなあとか、ずっと誰にも甘えられずにいるんだろうなあとか、そんなことを想像して、綾子の気持ちを思って胸がぎゅっとなる。一方で房枝は満はもうコーヒーを入れないと分かりつつやっぱり5時半に台所で待ち、満はやっぱりその時間には起きているけれど部屋からは出てこない。房枝の気持ちも、満の気持ちも、綾子の気持ちも、どの気持ちも分かるからこそ家族って難しいよなあって改めて思う。難しくてそして愛おしい。それが家族よな。

そんなこんなしてるうちに、春海の恋のお相手はなぜか房枝の喫茶店を訪れるし、満はついにコーヒー屋時代の品々を手放す決意をする。満にそのままでいて欲しいような、一歩踏み出して欲しいような、複雑な気持ちですが、とりあえずこのドラマが大好きです。