すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

G線上のあなたと私 1話 感想

大学生と職なしアラサーと中年主婦という組み合わせが面白い。何もかもが違うこの3人が大人のバイオリン教室で関係を深めていくというのがものすごく興味をそそります。

主人公は結婚直前に一方的に婚約を破棄され、会社も辞めざるを得なかった27歳の小暮也映子(波瑠)。失意の中ショッピングモールで聞いた眞於(桜井ユキ)の演奏する「G線上のアリア」に感動してバイオリン教室に通い始めると、そこにいたのが大学生の加瀬理人(中川大志)と中年の主婦北河幸恵(松下由樹)。同じ教室に通い始めた3人にはそれぞれ事情があって、そんな3人がこちゃこちゃありながらも1か月後の発表会に出ることを決意するまでが1話。

婚約解消というヘビーな状況よりも、空っぽな自分に気付いちゃったことの恐怖。何者になるわけでもないカルチャスクールにすがるしかないという切羽詰まった也映子が、出会った2人とともにどう変わっていくのだろう。世代の違う3人のシニカルなやりとりは面白くそれだけでも毎週楽しく観ることが出来そう。そして、何というか映し出される場所もあまりにも私達の日常生活と地続きで、ショッピングモールや音楽教室やカラオケや、公園の風景や、道路や、何もかも徹底して現実の雑多な日常を切りとっている。どこにあるのっていうおしゃれなカフェも出てこないし、インテリアに凝った部屋も出てこない。綺麗な噴水のある公園ではなくよどんだ茶色い池の公園を敢えてロケ場所にチョイスする。そんな風に徹底的にこだわってどこにでもいる市井の人達の物語を紡いで、そこからきっとかけがえのない大切なことを伝えてくれるドラマになるのだろう。次回も楽しみです!

シャーロック 2話 感想

ディーンさんと岩ちゃんの作り出す不思議な間が面白い。何だろうあの独特な間。しかしそれすらも魅力になるディーンさん。2話も面白かった。2話のゲストは菅野美穂岸井ゆきの。成り代わり事件の真相を追う獅子雄(ディーン・フジオカ)といつの間にか助手になっている若宮(岩田剛典)のまだぎこちないコンビネーションが今回の見せ所。これから回を重ねるごとにどんどん良いコンビになっていくのを観るのが楽しみ。

今回はストーリー的にはさほど意外性はなかったけれど、悲しき悪女の菅野美穂が良かったなあ。罪悪感と決別した菅野美穂のこれからの生き様を想像して妙に清々しくなるという。

3話はどんなお話だろう。次回も楽しみです。

映画館、前の方で観てみた。

「私はいっつも映画は前の座席で観るよ。そうしたらその映画に入りこむような感覚で鑑賞出来るんだよ」なんてツイッタを発見しまして。今までの人生“ノット前の座席”で生きてきた私には考えられないことです。首が疲れちゃいそうだし。字幕観て画面観て字幕観て画面観ての繰り返しでよく分かんなくなりそうだし。俯瞰して観る方が細部まで気付きがあるし。何より観やすいし。

しかし何事もチャレンジだよね。そんなツイッタを発見したのも何かの縁。やってみようじゃないですか。スクリーンの真ん前で観てみようじゃないですか。

ということで前の座席で映画観てみました。

結果ね、すごい良かったよ!!なんで今まで後ろの方が観やすいなんて思い込んでいたんだろう。ツイッタの人ありがとう!!あなたの言った通りだよ。めちゃめちゃ映画に入り込めたよ。映画と私、私と映画。邪魔するものは何もない。字幕全然見づらくなんかないよ。首は痛くなんてならないよ。ものすごい集中して観れたよ。

やってみるもんだね。何事も思い込みは良くない良くない。好みがあるから誰にでもってわけじゃないけれど、前で観たことない人はぜひ一度お試し下さい。

たかが映画の座席だけれど、そんな小さな事で前よりも映画を楽しく鑑賞出来る。それはたぶん全部に当てはまる。なるべく軽やかに色んな思い込みを飛び越えて、もっともっと人生を楽しく生きていきたい。なるべく軽やかに世間や常識を飛び越えて、子供のやりたいことをやりたいようにさせてあげたい。大人の社会にまだ巻き込まれる必要がないはずの子供達にそれを押し付けてしまう自分に嫌気がさしながら、映画館の座席から飛躍してそんなことを考えたりした。

おいしい給食 1話 感想

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80年代。ある中学校で、給食マニアの教師と生徒が、静かな「闘い」を続けていた。ーそれは、どちらが給食を「おいしく食べるか」。

深夜ドラマの定番ジャンル「食モノ」満を持して、「選択の余地なき食」に挑む。(公式HPより)

テレビ神奈川TOKYO MXや地方各局で曜日も時間帯もバラバラで放送中。

ノーチェックだったがたまたま番組欄で見付けてちょっと気になって観た本作。なにこれめちゃくちゃ面白い。80年代の中学校で、給食が大好きで給食のために学校に来ていると言っても過言じゃない教師甘利田(市原隼人)が美味しく給食を食べる話かと思いきや、工夫を凝らして更に美味しそうに食べる生徒神野ゴウ(佐藤大志)が登場して、どっちがより美味しく給食を食べるかを見届けるドラマらしい。初回は鯨の竜田揚げ。80年代ならではのメニューであるこの鯨の竜田揚げをメインに、キャベツの千切り、キャベツソテー(カレー風味)、春雨スープ、コッペパン、いちごジャム、牛乳という献立だ。この給食ならではのちぐはぐな献立を受け入れ、そのちぐはぐさすらも愛する甘利田が一品一品丁寧に食し、なんなら竜田揚げとジャム付きコッペパンのハーモニーを楽しんでいる姿を薄ら笑いで見つめる生徒神野ゴウ。甘利田の視線を意識しながら神野はおもむろにどっかから持ってきたタルタルソースを鯨の竜田揚げにかける。そしてコッペパンに縦に割れ目を入れたかと思うとそこにキャベツの千切りと鯨の竜田揚げをイン、仕上げに残ったタルタルソースを満遍なくかけて竜田揚げドッグの完成だ。うろたえる甘利田を前に神野は勝利の目で竜田揚げドッグにかぶりつく。その邪道な手段に怒りを覚えつつ羨望が止まらない甘利田。闘いは始まったのだ。王道vs邪道、果たしてこの先どんな勝負が繰り広げられるのか!!

あー楽しい。めちゃ楽しい。その上甘利田と神野のメインエピソードだけではなく1話では給食を食べるのが遅過ぎて掃除の時間もずっと1人食べている女の子のエピソードも描かれる。女の子はそれが苦痛でたまらなく、給食費が無くなったと嘘を付く。大ごとになり担任の甘利田にはこっそり自分の仕業だと白状した彼女が保健室で産休代理で来たばかりの教師御園(武田玲奈)と2人きりで給食を食べる場面、ゆっくり食べようと言う御園に、女の子は言う、鯨の竜田揚げっておいしいですね。初めて食べるの?と聞く御園に女の子は言う、いつも味なんて感じてなかったからって。決して給食が嫌いなわけじゃない、ただ食べるのに人より少し時間がかかるだけ。時間内に食べ終わるのに必死で味なんて感じる余裕もなかった女の子が初めて味わった給食に、ちょっと泣きそうになる。

次はどんな対決、どんなエピソードだろうって考えただけで楽しみ過ぎる。甘利田を演じる市原隼人もすごく良い。熱い男というイメージから、最近は変な役も含めて幅広い役に挑戦してどんどん味のある俳優になっている市原隼人を密かに応援していた中でこの甘利田という役。最高です。次回が待ち遠しくてたまらない。

俺の話は長い 1話 感想

面白かった!!軽妙な会話劇と今では珍しいホームドラマ、そして30分×2本という観やすさ。何より描かれる人物が面白い。登場人物は少なめだが、その分濃い。これでもかと1人1人のキャラが立っている。主人公の岸辺満(生田斗真)は6年前にコーヒー屋を起業したが失敗し、以来働かず小さな喫茶店を営む母親房枝(原田美枝子)に寄生して生活をしている。そこに、家を建て直す間の3ヵ月同居させてくれと頼みにやって来るのが、満の姉一家だ。姉秋葉綾子(小池栄子)、再婚の夫秋葉光司(安田顕)、光司とは血のつながらない中3の娘春海(清原果耶)。気の強い綾子と理屈っぽい満のやりとりのくだらなさがたまらなく面白く、綾子に尻に敷かれまくる光司を案じ、不登校の春海の複雑な心境に思いを馳せる。

何が起こるというわけではないが、例えば春海と満が自転車でシューっと下り道を下るところとか、あんなにすき焼きに文句を言っていた満が久しぶりに食べたすき焼きが美味し過ぎたが今さら言えずに春海にだけその秘密を打ち明けるとか、畳んだコーヒー屋の物達が詰め込まれたダンボール6箱の佇まいとか、そういう愛おしい場面に満ちていて、どうしたって満のことを好きになってしまうのだ。この愛おしきダメ男をまた来週観ることが出来るのが楽しみだ。

「すき焼きと自転車」「寿司とダンボール」という毎話のネーミングセンスも良いし、イラストも可愛いし、視聴率は取りにくいドラマかもしれないが個人的にはかなりの良作の予感だ。

トッド・フィリップス「ジョーカー」

 

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バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化。道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか。原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く。「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。これまでジャック・ニコルソンヒース・レジャー、ジャレット・レトが演じてきたジョーカーを、「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスが新たに演じ、名優ロバート・デ・ニーロが共演。「ハングオーバー!」シリーズなどコメディ作品で手腕を発揮してきたトッド・フィリップスがメガホンをとった。第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、DCコミックスの映画化作品としては史上初めて、最高賞の金獅子賞を受賞した。(映画.comより)

鑑賞後しばらく映画の世界から抜けられなかった。賛否両論とは世間の評価のみならず自分の心の中のことだ。どうしようもなくアーサー(ホアキン・フェニックス)に共感し同化していくような感覚を持ちながら一方でアーサーを見下し嫌悪するような気持ちにもなった。ただただホアキン・フェニックスが凄まじい。演じる俳優のことをここまで凄まじいと感じたことが今までにあっただろうか。

心優しきアーサーが狂人ジョーカーとなるまでの過程が、考察の必要もないくらい丁寧に描写される。ので、観ているのがどんどんしんどくなってくる。たまらなくなってくる。今の日本のような(というかアメリカや日本だけじゃなくどこの国ももうこうなってしまっているのだろう)格差社会ゴッサムシティを舞台にして、その貧困層に生きる人達の過酷さをこれでもかと見せつける。みんな他人に優しくする余裕なんてとうの昔になくしてしまった社会で持病(緊張したり不安になったりすると笑いが止まらなくなってしまう。トゥレット症候群というらしい。側からみると不謹慎だったり異様に見えてしまう)のあるアーサーはその最下層に置かれてしまう。それでもアーサーは、現実逃避していつもどこか上の空な母親の面倒を一生懸命にみている。楽しみはマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)のTVショー。言葉巧みに観客を笑わせるマレーがアーサーの憧れで、アーサーもいつかみんなを笑顔にするスタンダップコメディアンになりたいと思っている。心からそう思っていたのだ。

ふいに同僚に渡された拳銃をきっかけとして、今にも切れそうなピンと張り詰めたアーサーの心の糸はついに切れてしまう。すがるようにしていたその糸が切れてしまった瞬間からもう決して元に戻ることは出来ない。闇が襲う。気が付かないようにしていた絶望が襲う。そしてアーサーが拳銃で起こしたある事件をきっかけに民衆の不満も爆発する。ジョーカーは決してアーサーが1人で生み出した怪物じゃないってことが随所に示されるが、中でも印象的なのは大勢の民衆がデモで詰めかけた建物の中で、そんなこと全く意に介さずにチャップリンの映画を観て笑っている富裕層(後にバットマンとなる人物に深く関わる人もいる)だ。格差社会の真実を突きつけられるとともに、怪物を作ったのは紛れもないお前らだという怒りが込み上げる。すがろうとした全てのものから見放されたアーサーは、あるきっかけで頭を打って病院に運ばれた意識のない母に向かって言う。「この病気(トゥレット症候群)は病気なんかじゃなかったんだ、これが正常なんだよ、自分に起きたことは悲劇なんかじゃない、全部喜劇だったんだ。」この言葉を放った瞬間にジョーカーが誕生した。なぜだかこのシーンから涙が止まらなくなってしまった。いけないいけないと思いながら溢れる感情を抑えることが出来ない。それくらい壮絶な台詞だった。

そこからのアーサーにはもう同情の余地はない。ただ一人優しくしてくれたからと元同僚を殺さず逃してあげる場面がアーサーが見せた最後の弱さだ。

上昇と下降の象徴に使われる階段がこの映画ではとても印象的だ。映画の序盤、アーサーは疲れ切った背中でトボトボと長い階段を登り家路に着く。擦り減らし擦り減らしそれでも階段を登り続けるのだ。そして終盤、髪を緑に染め、ピエロのメイクをして、赤いスーツで正装をしたジョーカーが軽やかなステップを踏みながら階段を下降していく。その反転した情景が何とも鮮やかに映し出され目に焼き付いて離れない。

強烈な映画だった。ぼーっとしながら映画館を出て車で帰路に向かう途中、唐突に「ヒメアノ〜ル」を思い出した。観たあとに襲う感情の種類が、似ていたのかもしれない。そしてきっと「ヒメアノ〜ル」みたいに、いつまで経っても思い出す映画に、この映画もなるのだろうな。

 

シャーロック 1話 感想

松本まりかが期待通りの松本まりかな1話。面白かったなあ。シャーロックホームズって小学校の頃に児童文学全集みたいなので何冊か読んだきりでほとんど覚えていないけれど、事件はどのくらい原作に沿っているのだろうか。松本まりかが出てきた瞬間に犯人は松本まりかだと分かってしまったけれども、それでも事件が起きてから過去の回想を散りばめて解決に向かっていく流れ自体が面白くて魅入ってしまった。ディーンさんのシャーロックホームズ良かったなあ。シャーロックホームズじゃないのか、誉獅子雄、へんな名前。コミカルなお芝居もお上手でディーンさんは何でも出来るんだなあ。好き。ワトソンは岩田剛典で役名は若宮潤一。岩ちゃんは闇を持ったキャラクターなのかな。ワトソンってそんな感じだったっけ。でも変人なディーンさんに振り回される闇持ち岩ちゃんっていうのが面白そうでいいね。ディーンさんに仕事を回す刑事役の佐々木蔵之介の絶妙な出来なさ加減も、それを呆れて見ている部下の山田真歩の佇まいも最高でとにかく期待通りの私好みのドラマである。毎週月曜日に楽しみができて嬉しい。