35歳の少女 6話 感想
誰も悪くないのに、お互いがお互いを理解出来ずに苦しくなってしまう。
人と人との関係の難しさをぎゅっと凝縮したような、とても切なく考えさせられる6話だった。
どんなに短期間で成長しようとも、望美(柴咲コウ)の経験値は10歳までと目覚めてからの何か月かしかない。
誰もが少しづつ経験を重ねながら、良い意味でも悪い意味でも、不条理な世界や、理想と現実があることを知って大人になっていく。
だからまだ新しい人生が始まったばかりの望美は、望美が今出来る精一杯を自分や結人(坂口健太郎)や家族に向けるしかないのだ。
アナウンサーを目指すことも、なかなか教職が見付からない結人を安易に励まし続けることも、家族を元通りにしようと働きかけることも、どれもこれもが今の望美の精一杯なのだ。
そして一方で、そんな無垢な望美の行動を受け止め続けなければならない結人や家族のしんどさや煩わしさにこそ共感してしまう自分もいる。
つ、つらい。
望美の言動についついそう思ってしまう。
そうして起こるべくして起きてしまう望美と家族とのすれ違い。傷付け合い。
いやでもさ、そんなにみんなして無職になることもなくない?
まるで望美をきっかけに家族全員が生まれ変わるかのように、全部を失っていく。
打ちひしがれた望美に「ずっとそばいにる」とまっすぐに伝える結人。
なんとも神々しいキスシーン。
しかしいつも容赦ない遊川作品だからこそ、不安になる。
出来れば見たくはないけれど、きっとこの先望美と結人にも試練が待ち受けているのだろうな。