すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

35歳の少女 1話~5話 感想

f:id:nao0911s:20201107172022j:image

最近の遊川作品では一番設定と作家性が合っていると個人的には思っている。

端的に言うと遊川節がバシッとはまっている。

ので、面白いし今までの遊川作品のように観ているとなぜか感じてしまうストレスを感じないので観やすいのだ。

 

10歳のときに自転車事故で昏睡状態に陥り、それから25年後に目覚めた望美(柴咲コウ)の物語。

25年ぶりに目覚めると世界はすっかり変わっていて、仲の良かったはずの家族はばらばらになっていた。そこから、少しづつ現実を受け入れながら成長していこうと頑張っていくのだが、25年という気の遠くなるような時間を眠り続ける望美の横で過ごした母・多恵(鈴木保奈美)を筆頭にみな一筋縄ではいかない事情を抱えていて、なかなかうまくはいかないのである。

5話まで至っても、望美の家族はそれぞれにこじれにこじれている。望美だけがどんどん成長をしていくのだ。

10歳の心のままで目覚めた望美の心は4話でついに思春期を迎え、ついに5話では同級生の結人(坂口健太郎)と付き合いともに生きていくという決意をするのであるが、いやいやいやいや、と多恵は全く受け入れられないばかりか、結人か自分か選びなさいとか言っちゃう始末。それまでにも家中に監視カメラを付けてみたり突拍子もないことばっかりする多恵だったが、とにもかくにも多恵はこのドラマ一番の問題児なのである。

しかし、気持ちは分かる。

この一言に尽きる。

どんなに毒親みたいになったとしても仕方がないと、この状況では思えてしまう。

10歳から昏睡状態の娘を25年間目覚めると信じ続けることがどんなにどんなに過酷であったか。ひたすらに娘の筋肉が固まってしまわないように入念にマッサージをしたり動かしたり、答えてくれない娘に話しかけ続けたりすることがどんなに難しいことか。

想像しただけで吐き気がするほどつらい。

夫にももう一人の娘にも見放され、それでもいつか望美が目覚めてくれると信じ続けるある種の狂気。

そんな時間を経て、奇跡のように突然目覚めた望美を前に、誰が普通のお母さんになんてなれるだろうか。

だから、この物語は望美と、それ以上に多恵の人生の物語になるのだと思う。

 

6話では家を出て結人と生活をともにする望美の姿が描かれるようだ。

一体どんな展開が待っているのか、ものすごく興味があり、楽しみである。