すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

俺の話は長い 1話 感想

面白かった!!軽妙な会話劇と今では珍しいホームドラマ、そして30分×2本という観やすさ。何より描かれる人物が面白い。登場人物は少なめだが、その分濃い。これでもかと1人1人のキャラが立っている。主人公の岸辺満(生田斗真)は6年前にコーヒー屋を起業したが失敗し、以来働かず小さな喫茶店を営む母親房枝(原田美枝子)に寄生して生活をしている。そこに、家を建て直す間の3ヵ月同居させてくれと頼みにやって来るのが、満の姉一家だ。姉秋葉綾子(小池栄子)、再婚の夫秋葉光司(安田顕)、光司とは血のつながらない中3の娘春海(清原果耶)。気の強い綾子と理屈っぽい満のやりとりのくだらなさがたまらなく面白く、綾子に尻に敷かれまくる光司を案じ、不登校の春海の複雑な心境に思いを馳せる。

何が起こるというわけではないが、例えば春海と満が自転車でシューっと下り道を下るところとか、あんなにすき焼きに文句を言っていた満が久しぶりに食べたすき焼きが美味し過ぎたが今さら言えずに春海にだけその秘密を打ち明けるとか、畳んだコーヒー屋の物達が詰め込まれたダンボール6箱の佇まいとか、そういう愛おしい場面に満ちていて、どうしたって満のことを好きになってしまうのだ。この愛おしきダメ男をまた来週観ることが出来るのが楽しみだ。

「すき焼きと自転車」「寿司とダンボール」という毎話のネーミングセンスも良いし、イラストも可愛いし、視聴率は取りにくいドラマかもしれないが個人的にはかなりの良作の予感だ。

トッド・フィリップス「ジョーカー」

 

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バットマン」の悪役として広く知られるジョーカーの誕生秘話を、ホアキン・フェニックス主演&トッド・フィリップス監督で映画化。道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのか。原作のDCコミックスにはない映画オリジナルのストーリーで描く。「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。これまでジャック・ニコルソンヒース・レジャー、ジャレット・レトが演じてきたジョーカーを、「ザ・マスター」のホアキン・フェニックスが新たに演じ、名優ロバート・デ・ニーロが共演。「ハングオーバー!」シリーズなどコメディ作品で手腕を発揮してきたトッド・フィリップスがメガホンをとった。第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門に出品され、DCコミックスの映画化作品としては史上初めて、最高賞の金獅子賞を受賞した。(映画.comより)

鑑賞後しばらく映画の世界から抜けられなかった。賛否両論とは世間の評価のみならず自分の心の中のことだ。どうしようもなくアーサー(ホアキン・フェニックス)に共感し同化していくような感覚を持ちながら一方でアーサーを見下し嫌悪するような気持ちにもなった。ただただホアキン・フェニックスが凄まじい。演じる俳優のことをここまで凄まじいと感じたことが今までにあっただろうか。

心優しきアーサーが狂人ジョーカーとなるまでの過程が、考察の必要もないくらい丁寧に描写される。ので、観ているのがどんどんしんどくなってくる。たまらなくなってくる。今の日本のような(というかアメリカや日本だけじゃなくどこの国ももうこうなってしまっているのだろう)格差社会ゴッサムシティを舞台にして、その貧困層に生きる人達の過酷さをこれでもかと見せつける。みんな他人に優しくする余裕なんてとうの昔になくしてしまった社会で持病(緊張したり不安になったりすると笑いが止まらなくなってしまう。トゥレット症候群というらしい。側からみると不謹慎だったり異様に見えてしまう)のあるアーサーはその最下層に置かれてしまう。それでもアーサーは、現実逃避していつもどこか上の空な母親の面倒を一生懸命にみている。楽しみはマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)のTVショー。言葉巧みに観客を笑わせるマレーがアーサーの憧れで、アーサーもいつかみんなを笑顔にするスタンダップコメディアンになりたいと思っている。心からそう思っていたのだ。

ふいに同僚に渡された拳銃をきっかけとして、今にも切れそうなピンと張り詰めたアーサーの心の糸はついに切れてしまう。すがるようにしていたその糸が切れてしまった瞬間からもう決して元に戻ることは出来ない。闇が襲う。気が付かないようにしていた絶望が襲う。そしてアーサーが拳銃で起こしたある事件をきっかけに民衆の不満も爆発する。ジョーカーは決してアーサーが1人で生み出した怪物じゃないってことが随所に示されるが、中でも印象的なのは大勢の民衆がデモで詰めかけた建物の中で、そんなこと全く意に介さずにチャップリンの映画を観て笑っている富裕層(後にバットマンとなる人物に深く関わる人もいる)だ。格差社会の真実を突きつけられるとともに、怪物を作ったのは紛れもないお前らだという怒りが込み上げる。すがろうとした全てのものから見放されたアーサーは、あるきっかけで頭を打って病院に運ばれた意識のない母に向かって言う。「この病気(トゥレット症候群)は病気なんかじゃなかったんだ、これが正常なんだよ、自分に起きたことは悲劇なんかじゃない、全部喜劇だったんだ。」この言葉を放った瞬間にジョーカーが誕生した。なぜだかこのシーンから涙が止まらなくなってしまった。いけないいけないと思いながら溢れる感情を抑えることが出来ない。それくらい壮絶な台詞だった。

そこからのアーサーにはもう同情の余地はない。ただ一人優しくしてくれたからと元同僚を殺さず逃してあげる場面がアーサーが見せた最後の弱さだ。

上昇と下降の象徴に使われる階段がこの映画ではとても印象的だ。映画の序盤、アーサーは疲れ切った背中でトボトボと長い階段を登り家路に着く。擦り減らし擦り減らしそれでも階段を登り続けるのだ。そして終盤、髪を緑に染め、ピエロのメイクをして、赤いスーツで正装をしたジョーカーが軽やかなステップを踏みながら階段を下降していく。その反転した情景が何とも鮮やかに映し出され目に焼き付いて離れない。

強烈な映画だった。ぼーっとしながら映画館を出て車で帰路に向かう途中、唐突に「ヒメアノ〜ル」を思い出した。観たあとに襲う感情の種類が、似ていたのかもしれない。そしてきっと「ヒメアノ〜ル」みたいに、いつまで経っても思い出す映画に、この映画もなるのだろうな。

 

シャーロック 1話 感想

松本まりかが期待通りの松本まりかな1話。面白かったなあ。シャーロックホームズって小学校の頃に児童文学全集みたいなので何冊か読んだきりでほとんど覚えていないけれど、事件はどのくらい原作に沿っているのだろうか。松本まりかが出てきた瞬間に犯人は松本まりかだと分かってしまったけれども、それでも事件が起きてから過去の回想を散りばめて解決に向かっていく流れ自体が面白くて魅入ってしまった。ディーンさんのシャーロックホームズ良かったなあ。シャーロックホームズじゃないのか、誉獅子雄、へんな名前。コミカルなお芝居もお上手でディーンさんは何でも出来るんだなあ。好き。ワトソンは岩田剛典で役名は若宮潤一。岩ちゃんは闇を持ったキャラクターなのかな。ワトソンってそんな感じだったっけ。でも変人なディーンさんに振り回される闇持ち岩ちゃんっていうのが面白そうでいいね。ディーンさんに仕事を回す刑事役の佐々木蔵之介の絶妙な出来なさ加減も、それを呆れて見ている部下の山田真歩の佇まいも最高でとにかく期待通りの私好みのドラマである。毎週月曜日に楽しみができて嬉しい。

2019秋ドラマ

あっという間に夏クールが終わり、秋クールがもうすぐ始まります。久々高橋一生がどこにも出ていないなあ。秋ドラマの初回は観そうな作品ラインナップと個人的な期待度です。

 

月21フジテレビ「シャーロック」 

主演 ディーン・フジオカ

脚本 井上由美子

10/7スタート。大好きだった「モンテ・クリスト伯」からの流れを汲んだフジテレビ×外国の名作リメイク×ディーン・フジオカシリーズが再びということで、ものすごく楽しみ。ワトソンは岩ちゃんこと岩田剛典、脇は山田真歩佐々木蔵之介とキャストも渋めで良いなあ。最近のフジテレビは予算の関係か視聴率が悪いせいか旬のキラキラした芸能人はあまり出演していないけれど、それが却って功を奏しているような気がします。期待度◎。

 

月22テレ東「ハル〜総合商社の女〜」

出演 中谷美紀

脚本 龍居由佳里

10/21スタート。テレ東のお家芸であるビジネス番組から派生したビジネスドラマ枠として少しずつ定着しつつある月22だが、今まであまりハマった作品はない。しかし今回は「私結婚できないんじゃなくて、しないんです」の中谷美紀藤木直人コンビということでちょっと楽しみにしている。商社勤めのシングルマザーが奮闘するビジネスヒューマンドラマということだが女性のお仕事ドラマは時流を読むのが肝で、でも読み過ぎてもシラケるという非常にバランスが難しいテーマだと思うのでどんな風になるのか興味があります。期待度◯。

 

火21フジテレビ「まだ結婚できない男

主演 阿部寛

脚本 尾崎将也

10/8スタート。13年ぶりの続編で、この令和の時代にどんな展開にするのか全然予想が付かなくて楽しみ。相手役は吉田羊と稲森いずみ阿部寛との掛け合いも面白くなりそうだ。期待度◯。

 

火22TBS「G線上のあなたと私」

主演 波瑠

脚本 安達奈緒子

10/15スタート。いくえみ綾原作で脚本が安達奈緒子なんて面白いに決まっている。波瑠も好きだし、原作未読でどんな話か全く知らないけれどもとにかく面白いことだけは保証されている作品だ。期待度◎。

 

水22日テレ「同期のサクラ」

主演 高畑充希

脚本 遊川和彦

10/9スタート。遊川脚本は少し苦手なのだが、高畑充希を筆頭に橋本愛新田真剣佑竜星涼岡山天音ととにかくキャストが魅力的なので、観ないわけにはいかない。期待度◯。

 

木22フジテレビ「モトカレマニア」

主演 新木優子高良健吾

脚本 坪田文

10/17スタート。演出と新木優子のお芝居次第と個人的には思っているが、今勢いのあるこの枠なので面白いことを願います。期待度△。

 

金22TBS「4分間のマリーゴールド

主演 福士蒼汰

脚本 櫻井剛

10/11スタート。手を重ねた人の“最期の瞬間”が見えてしまう福士蒼汰とその義姉菜々緒の禁断のラブストーリー。菜々緒が1年後に死んじゃう未来が見えちゃって日本中が涙するラブストーリーらしい。色々言いたいこともあるが、悪女じゃない菜々緒をひたすら楽しみに観ようと思います。期待度△。

 

金22NHK「ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜」

主演 松雪泰子

脚本 八津弘幸

10/18スタート。失敗学がテーマというのが、ちょっと面白そうだなあ。安定クオリティのNHKだから上質なミステリーなんでしょう。期待度◯。

 

金2315テレ朝「時効警察はじめました」

主演 オダギリジョー

脚本 三木聡

10/11スタート。なぜ今さら時効警察の続編なのかは分からないが、とにかく趣味で時効になった事件を解決するオダジョーが帰ってくるらしい。あの独特の雰囲気をまた楽しめるのが楽しみでもありつつ、そこまで興味も惹かれないような。期待度△。

 

土22日テレ「俺の話は長い」

主演 生田斗真

脚本 金子茂樹

10/12スタート。起業に失敗し6年引きこもりで母親に寄生するニートの生活が姉一家の帰省で一変する物語。ニートで屁理屈の上手い生田斗真というだけで、もう観たいよな。30分×2本という組み立ても新鮮だ。期待度◯。

 

土2315テレ朝「おっさんずラブin the sky」

主演 田中圭

脚本 徳尾浩司

11/2スタート。牧(林遣都)のいないおっさんずラブなんて観る気がしないというのが素直な気持ち。でもきっと視聴者がそう思うことを見越した上で敢えてなんだろうから、別舞台でやるということに勝算があるんだろう。なので一応初回は観る。期待度△。

 

土2330NHK「決してマネしないでください。」

主演 小瀧望

脚本 土屋亮一

10/26スタート。サイエンス物ということで、どうなるか全然分からないが意欲作の続くこの枠ならではの面白さに期待します。期待度◯。

 

日21TBS「グランメゾン東京」

主演 木村拓哉

脚本 黒岩勉

10/20スタート。全てを失ったカリスマシェフが再起する話。キムタクはもうきっと、カリスマだの天才だの型破りだのそんな肩書きの役ばかりに辟易としているんじゃなかろうかね。また同じようなキムタクか〜なんて観る前から思っちゃうけれど1番そう思ってるのはキムタクかもしれないなあ。期待度△。

 

日2230日テレ「ニッポンノワールー刑事Yの反乱ー」

主演 賀来賢人

脚本 武藤将吾

10/13スタート。「3年A組」の世界から半年後を舞台にしてるんだって。個人的には作り手の主張したいこと有りきで逆算してストーリーを組み立てる構成だった「3年A組」はあまり好きな作風ではなかったけれども菅田将暉がすごかったからついつい引き込まれて観ていたなあ。そんな世界観を踏襲した作品ということで期待半分不安半分。でも若い世代に観てもらえるドラマを作り続けるこの枠の気概を感じる。期待度△。

 

以上です。深夜ドラマも面白そうな作品がちらほらあるのだけれど、きっとそこまで観る時間が取れないだろうなあ。そこまで期待してなかったのに何これめっちゃ面白い!っていう作品に出会えるのがドラマ好きとしては醍醐味なので、それを楽しみにそれぞれの初回を待とう。秋ドラマはどんなストーリーになるか予想が付かない作品が多いので、楽しみです!!

2019夏ドラマの感想

今期は完走したドラマが少なかったなあ。最後まで観たとしても何本か抜けてたり。それでも最終回まで観たドラマはどれも楽しませてもらいました。

 

木22フジテレビ「ルパンの娘」

最初から最後まで振り切って走り抜けたドラマ。ミュージカルシーンもいつからか毎回楽しみになり、ついにはマルシアも参加していて笑ったなあ。ストーリーは荒唐無稽ながらもしっかりと世界観を構築していて、最初は違和感があったどんぐりや加藤諒もどんどんこの世界観に欠かせない要員になっていて、隅から隅まで完璧なキャスティングでございました。個人的には渡部篤郎小沢真珠のコンビにかなり楽しませてもらいました。そして類を見ないくらいに個性的なキャラクターに囲まれながらも、毎回このふざけた世界観の中で大真面目にロミオとジュリエットを演り主役として確固たる存在感を示し続けた深キョン瀬戸康史の凄さたるや。深キョンが年齢を重ねてもオファーが途切れない理由も、瀬戸康史が重宝される理由も、分かり過ぎるくらいに分かる。この先もこのお二人はずーっと活躍していくんだろうな。それぞれの次回作も楽しみです。

 

金22TBS「凪のお暇」

今期唯一、1話から最終回まで感想を書いたドラマ。

 

金2315テレ朝「セミオトコ」

ゆるゆるしたストーリーについつい眠気が勝ってしまい最後まで観られない回も多々あれど、最終回とその前はとても良い回だったなと思う。特にセミオ(山田涼介)と小川さん(北村有起哉)が2人で話すシーンが心に残っています。セミオがいなくなっても前向きに生き続けているおかゆさん(木南晴夏)が、6年後セミオと再会するラストは素敵だったなあ。

 

土2330「だから私は推しました」

さすがの森下佳子脚本で、最初から最後まで緻密な展開で毎週釘付けになって観ておりました。アイドルと推しの特殊な関係性を興味深く観ながらも、結局は人と人との普遍的なつながりを描いていたよな。人間は善人でも悪人でもなく、物事には良い面悪い面が同時に存在する。そんな不完全な人間同士が関わり合って互いに影響しあって、“自分”っていうものを見つける物語でした。面白かった!!

 

日21TBS「ノーサイド・ゲーム」

すっごい面白かった!!毎週熱く熱くなりながら観ていた。いつもの池井戸作品より顔芸などをやり過ぎてない感じが良かったのか、個人的にはこの枠の池井戸作品で1番楽しくワクワクしながら観ることが出来ました。後半は毎週テレビ画面に向かって「浜畑ー!!」って泣きながら叫んでいた気がする。ドラマを観ていない人には分からないが、観ている人はきっと分かってくれると思う。とにかく最初から最後までこのドラマは浜畑でございました。

 

日2230日テレ「あなたの番です反撃編」

反撃編に入ってほとんど観ていなかったのだが、後半回で何気なく観たら続きが気になって最終回まで観てしまった。もう謎が謎を呼びたいだけのてんやわんやな展開に辟易としつつも、ただただ犯人は誰だろうとまんまと作り手の策略にはまり観続けていたわけです。そんでもって最終回はあまりにもツイッターの考察通りで意外性だけが魅力の本作に意外性が何もないというまさかの展開に1番驚愕するというね。

 

まだ録画未視聴組のドラマも何本かあるんだけれど、いつ観られるか分からないのでとりあえずの最後まで観た夏ドラマの感想でした。今期はずっしり重くならずにサラッと観られる作品が多かった印象です。秋ドラマはどんなラインナップかな。

凪のお暇 10話(最終話) 感想

終わってしまったなあ。夏が終わりを告げ始め秋の気配を少しずつ感じる時期がなぜかたまらなく淋しく切ない気分になるのとリンクするように、凪(黒木華)のお暇が終わりを迎える様子をただただ淋しい気持ちで見守った最終話。

どっちも選ばないことはとっくに分かっていたけれども、それにしてもゴン(中村倫也)も慎二(高橋一生)もそりゃあ見事に振られておりました。ゴンは初恋が破れて初めて涙を見せ、慎二は初めて泣かない別れ。凪を通して成長した2人を涙の対比で表す演出が見事だなあ。愛すべき2人がこの先出会う相手と幸せになることを切に切に願います。

そして凪。お暇で出会った大切な愛おしい人達との時間を力に変えて、自分の分身みたいな慎二との関わりを通して、やりたいことをたくさん見つけて一歩一歩自分の人生を歩いていく。凪のやりたいことリスト、本当に些細な多くの人にとっては当たり前のようなことばっかりのそれが、泣いちゃうくらい愛おしい。頑張れ凪!!

・自分の運転で出かける

・人に興味を持つ

・サッカーを見にいく

・音楽を聴く

・友達と飲む

・美味しいものをみんなで食べる

・好きな服をみつける

・坂本さんとコインランドリーをやる

・ちょっとしたお暇を提供する場所を作る

・美味しい空気をあげられる人になる

ずっとモヤモヤしていた悪キャラ足立さん(瀧内公美)が円(唐田えりか)によって救われそうな展開も、緑さん(三田佳子)の長い長いお暇の終わりも、安易に母親夕(片平なぎさ)との和解を描かなかったところも、凪も坂本さん(市川実日子)も夢を諦めていないところも、凪の役に立ちたいと心から願う慎二がしっかり凪と決別することがそれだと気付いて実行するところも、ずっと捨てられず大切に育てた凪の豆苗を晴れやかな顔で調理する慎二も、お暇を終了して自転車で漕ぎ出す凪の姿も、もう全部最高でした。

敢えてスタイルが悪く見える中途半端なTシャツとジーンズ姿で、それでも、凪の魅力を120%出し切った黒木華の凄さを改めて感じました。高橋一生がーとか中村倫也がーとか言われがちだけれど、1番すごいのは黒木華だからね。こんなに地味な埋没しそうな凪というキャラクターをしっかり主役然として魅せるのは本当にすごいことだと思う。黒木華の次回作も楽しみだ。

ちょっとモヤモヤしたこともあったけれど、帳消しになるくらい良い最終回でした。全話通して面白かった!!何より役に恵まれなさ過ぎる高橋一生が水を得た魚みたいに生き生きと慎二を演じていたことが高橋一生好きとしては最高でした!!

次の高橋一生はどんな役なのかな。楽しみ。そして次クールの悪女じゃない菜々緒のドラマも楽しみだ!!

凪のお暇 9話 感想

それぞれの長い長い人生のお暇の終わりを予感させる10話。突然の夕(片平なぎさ)の襲来にふいに結婚話を持ち出してしまった慎二(高橋一生)と思わずそれに乗っかった凪(黒木華)が夕の圧にどんどん押されていく様子を面白可笑しく観せてからの、慎二の想像する結婚生活と凪のそれとの違いの何とシュールなことか。素直になれたんだかなれてないんだかよく分からない慎二のお暇は何とも微妙な形で終了したらしい。

もみ消すつもりの両家顔合わせは全然もみ消せない。ついにはエンドレスお返し地獄にはまる凪。オリーブオイル&ビネガーセットをお返しする凪はどこまでも凪な描写がなんだか愛おしく、ダンボールいっぱいの野菜を夕から送られた慎二母(西田尚美)の際立つ孤独さに身震いする。そうして両家顔合わせの日を迎えるのであるが、その前に、凪と慎二だけではなく、なんだかみんなワサワサしている。本気を出すと宣言したゴン(中村倫也)はなぜか日毎に顔に傷が増え、半世紀以上前に全てを妹になすりつけて逃げたと言う緑さん(三田佳子)はついにその妹に会いに行く決意をして旅立つ。坂本さん(市川実日子)はそんな緑さんに心の拠り所であるブレスレットをお守りにと差し出す。みんな一歩踏み出したのだ。

さて、そうして迎えた顔合わせ、というか慎二のおばあちゃんの米寿のお祝いの会。凪は決死の覚悟でモジャモジャ頭で参上するが、それどころではない展開が待ち受けている。最初からどことなく無粋な表情を浮かべていた慎二母は、凪と夕の素性調査をしており、嘘ばっかりだと2人を責め立てる。まるで誰もいない家に大量の野菜を送り付けられた屈辱を果たさんとするように。すると今度はなぜか慎二の兄慎一(シソンヌ長谷川忍)が会場に現れ、我聞家の内情を暴露し始める。慎一はきっと慎二を救いに来たんじゃないかなあと思うがそれはさておき、そんな惨状を慎二は必死に取り繕おうとしている。それはもう必死に。凪はそんな慎二を見て、やっと知る。慎二は自分だって。見えてなかった慎二の本当の姿を知った凪はさ、自分のためというよりか、慎二を見ていたたまれなくなったんじゃないかなあ。突然、夕に本音を話し出す。勢いにのって辛辣な言葉をスラスラと夕に吐く凪に、ようやく言えた良かった良かったとならないのは緑さんの「家族ってやっかい」の言葉があるからだろう。案の定、慎二と一緒にその場を後にしてから凪も慎二も後悔の念に襲われまくる。

「子供のころは

空気なんての見えてなくて

かっこいい父さんがいて

優しい母さんがいて

面白い兄貴がいて

幸せで

でもそれが全部

全部が嘘じゃなかったって

そう思いたかったのかな俺

バカだな」

そう言う慎二に呼応するように凪が言う。

「 牛乳つけたビスケット食べながらお母さん待ってて

100秒たったら帰ってくるって

数えて

ゼロになったらまた100秒って数えて

お母さんの靴音がして

扉が開いた瞬間が

一番幸せだった」

 家族はやっかいで、一筋縄ではいかなくて、憎いのに、愛おしい。毒親だから切り捨てる、なんてそんなに簡単なもんじゃないよな。本当に家族って面倒くさいもんだよな。それでもまあ、凪と慎二もやっと一歩を踏み出した。

ひとしきり泣いた2人は立川へ戻ってくる。知らず知らずに打ち解け合う凪と慎二にほっこりさせる暇を与えず、車に突っ込むゴン。危険を顧みず辿り着いた凪に思いを伝えるよ、回収した何十個もある鍵とともに。鍵の数に恐れおののいて告白が全然頭に入って来ないし、慎二のびっくり顔についつい笑ってしまうけれど、さて凪はどうする。

まあ普通に考えたら、どっちともくっつかないのがセオリーよな。とは思いつつ、せっかくだからどっちかとくっついて欲しいような気もするし、慎二は円(唐田えりか)と付き合って欲しい気もするし、凪と坂本さんのコインランドリーの夢の続きを見たい気もするし。とにかく最終回、楽しみです!!