にじいろカルテ 1〜3話 感想
1話を観た時点では、あーなんか微妙だな。
村人全員善人過ぎて逆に怖いし、なに?この村に何の秘密があるの?
って思った。
2話では、診療ミスで危うく命の危険がって展開で、ありゃこれはありきたりな医療ドラマになるのかね、ちょっと主人公が病気でってことくらいでそれ以外は凡庸なドラマだな。感想は書かなくていいかなって思ってた。
あまかった。
私あまかったよ。
すいませんでした。
3話えげつない。
参りました。
泣きました。
このドラマは”人間賛歌”だ。
描かれる世界観は岡田惠和の相変わらずのファンタジー感溢れる優しい世界で、リアルとは程遠い世界だ。
しかし主人公や村のみんなが抱える悩みは、とてもリアルだ。
3話では、1話からうっすら違和感を感じさせていた村の住人雪乃(安達祐実)が実はまだら認知症で2週間ごとに記憶がリセットされるという事情が明かされる。
雪乃は2週間ごとに自分が誰なのかすら分からなくなってしまう。
それを同じく住人の嵐(水野美紀)と氷月(西田尚美)が0から丁寧に雪乃に説明する。
雪乃は3年前から認知症であること。
自分達と雪乃はずっと前からの知り合いであること。
雪乃がこの村で生まれ育ちとても愛されていたこと。
丁寧に丁寧に雪乃に伝えていく。
そうして雪乃に語りかける中で、嵐も、氷月も、それぞれに抱える思いを吐露する場面がある。
そうやって雪乃にありのままの姿を見せることで、一緒に頑張っていこうというメッセージを届けることが目的なのだろうが、それぞれに抱えるものの切実さと、リアルさに胸がぎゅうっと締め付けられる。
今回そこに初めて加わることになった真空(高畑充希)も、自分の正直な思いを打ち明ける。病気が進行していることを認めたくない思い、周囲には平気な振りをしてしまうこと。
それぞれが自分の思いを打ち明けることで、雪乃の心が開いていって、打ち明けたみんなの心も浄化されていくようだった。その場面のひとつひとつが美しかった。
そうして、丁寧に丁寧に雪乃の心を落ち着かせたところで、
初めて雪乃は夫晴信(眞島秀和)と向き合うことが出来る。
しんどい。
晴信はしんどい。
それでも村のみんなの力を借りて、晴信は雪乃と一緒に生きていく。
そんな一連の全てが尊い。
どんな人も、
病気があっても、
なくても、
男でも、
女でも、
若くても、
若くなくても、
お互いに作用し合っている。
この閉鎖的な山奥の村というシチュエーションであることで、
一層それが際立っている。
とても、素敵なドラマだ。