すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

僕らは奇跡でできている 7話 感想

こっち側からあっち側にもあっち側からこっち側にも橋が通って一輝(高橋一生)はとても順調だ。一輝の光の中にどんどん他人が入っていく。一輝が他人と関わることに少しずつ喜びを感じて他人を受け入れていく様子を見て、ただただ嬉しい気持ちになる。そしてそんな一輝に影響を受けて育実も変わっていく。虹一のエピソードを通して育実は改めて自分を見つめ直すことが出来たようだ。一輝の過去も語られる。

虹一の母親の気持ちも育実の生き方も一輝の過去も、私達の日常だ。多かれ少なかれ他人の目を気にして育児しない親はいないだろうし、変わった子供はどうにか周囲に打ち解けて欲しいと思うし、苦手な勉強は頑張らせるだろう。他人からの評価が欲しくない人間なんていないだろうし、自信を持ちたくて少しでも他人より秀でた何かを持ちたいと願うし、実際にその為に努力する人はすごいと思うだろう。今までバカにされてばかりならその人達を見返してやりたいと思って当たり前だろう。自分の好きなことで思いがけず評価してもらえてその評価に囚われてプレッシャーになって好きなはずだったことが苦痛で仕方なくなるなんてあるあるだろう。みんなどっかでいつも他人を意識しないでは生きられない。

…はずなんだけれど、このドラマを観ていると「あれ?そうだよね、なんで他人の目を気にしてるんだっけ?」「あれ?そういえば誰かから直接非難されたことなんてあったかな?」「そもそもどうして苦手なことは克服しなきゃいけないんだろう?」って今まで思い込んでた全てのことがなんだかよく分からなくなってくる。本当に一輝のような価値観で生きていくことは現実にはなかなか難しいだろうが、それでも何となく生きるのが少し楽になるかもしれないと思わせてくれる上質なカウンセリングみたいなドラマだ。

良い台詞やシーンはたくさんあるが「100個すごいところ」を一輝が虹一に、一輝が育実に、虹一が母親に、育実が育実に言う場面がやっぱりすごく良かったなあ。言いながら自分が自分を受け入れていく。破った雑誌のページを貼り直す育実の表情にちょっと泣きそうになった。

「理科ができてもできなくても、僕は、いてもいいんだなあって思いました。」

 このドラマか表現しようとしていることはこの台詞に要約されている。どんな人でもいていい。シンプルで力強い。

次回は虹一と母親を通して少しずつ描かれていた「母と子」がメインテーマなのかな。琴音(矢作穂香)が唐突に話していた“父親の愛人”というワードが山田さんを表しているんだろう。最終回まで残り少なくなってきたが、最後まで一話一話大切に観たい。