すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

新開誠「天気の子」 感想

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久々に映画を観に行った。いつも子供が寝たあとにひっそりとレイトショーを観ているので観客が2、3人っていうのが当たり前くらいの感覚だったのだけれど今回は話題作の19時回ということで観客の多さにまずはびっくり。そして客層がほぼ10代〜20代。そりゃそうか。こんなに若い人達に囲まれる場所にいることほとんどないので妙に新鮮な気持ちで鑑賞いたしました。

こっから感想↓↓↓

景色すご!!すごいクオリティだよなあ。兎にも角にも雨の新宿、新宿に雨。そして雲間にさす光の美しさ。これだけでも映画館に観に行く価値があると思った。実際に映画が終わって外に出たらちょうど雨が降っていて、場所は新宿じゃないけれどかなりエモかったです。

そう、この映画はエモいが全てと言っていい。内容の良し悪しや詳細なんてこの際どうでも良い。全編に渡りエモいが溢れているのである。

離島に住んでいた16歳の少年帆高がフェリーに乗り家出をするところからこの物語は始まる。新宿で独り立ちするには幼過ぎるその少年が現実の過酷さに直面する序盤から、少女陽奈との出会い、陽奈と陽奈の弟凪と、そして須賀と夏美と、それぞれに家族のような関係を紡ぐ前半は楽しく幸せな雰囲気の中に包まれながらもどこか憂いを感じさせる。きっとそれは降り続く雨が多分に影響しているのだけれど、それ以外にもたまたま拾った銃とか、水商売を始めようとしていた陽奈とか、なんかまあ色々と後半に向けての不穏な要素が散りばめられているわけです。しかし前半はそんなこと考えてないで、“晴れ女”陽奈が作り出す圧巻の晴れ間を堪能するのが良いと思う。雨雲がさーっとよけて神々しく太陽の光が一帯を照らすその情景の美しさたるや。人間がこんな神様みたいに天気を司ってしまったら、そりゃ代償があるだろうなあと誰もが納得の描写であります。

と、前半に目一杯伏線を張って張って張りまくっての怒涛の後半です。そう、前半はとにかく情景で、景色で、エモさを発揮していたのだけれど、後半は展開がとにかくエモい。逃げる!逃げる!逃げる!!伏線を回収しながら逃げる!!それ以外に特に思いあたることはないぐらいに逃げている。それはもう必死に。命を懸けて。だからこそ、終盤に帆高がした決断には「いいぞいいぞ帆高!やれ帆高!!」と8割くらいの観客が思うんじゃないかと思うわけである。

そんな風に最大限にエモく、ある決断をした帆高であるが、これがやっぱり新海誠監督の伝えたかったことなんだなと考えざるを得ない。レビューを観ても色々な解釈があるけれど、個人的にはごくごく小さな、でもとても大切なことを伝えてくれたんじゃないかと思う。間違ってもいいよ。迷惑かけてもいいよ。そこに尽きるんじゃないかなって。新海誠監督は自分の映画を観てくれる層をがっちり把握して本作を作ったんじゃないかと思う。そしてそこにはしっかりと届いた映画だったんじゃないかなあ。

ストーリーにはつっこみどころも多々あれど、全編に渡って画面が美しく、とにかくエモく、私の右隣りに座っていた金髪の頭の少年も、左隣りの付き合いたてのような初々しい若いカップルも、エンドクレジットが終わるまで微動だにせず画面に釘付けだったことが全てなんだろうな。面白かったです!!