ビールを飲みながら

主に連ドラのこと、あと日々のこと、ビール片手に。

獣になれない私たち 9話 感想

面白さが止まらない9話。本作はとことんリアルを追求しているのか。現代に生きる人達の苦悩を簡単には解決させない。晶(新垣結衣)が会社で吠えたって何にも変わらない。あれだけ晶に頼りきっていた社員達も晶に追従しようとはしない。佐久間(近藤公園)でさえも…。代わりはいくらでもいるどうとでもなるっていう九十九(山内圭哉)の言葉はシビアだが真実でもあってさ、この台詞を書く野木亜紀子さんって本当に腰を据えているっていうかなんというか。大熊さんの反乱もあっけなく幕を閉じ、もちろん恒星(松田龍平)も粉飾決算からは逃がれられない。社会はそうやって回っている。個人の正義感も血の滲むような努力も忍耐も、一世一代の決心だってあっという間に無かったことになるんだ。

そんな社会の一員になれると役に立てると、皮肉にも頑張ろうと決意した朱里(黒木華)も九十九の前にあっけなく散る。あそこで踏ん張れないのが朱里なんだよ。短い付き合い(いやある意味長い付き合いか)ながらも晶はそれを知っているからこそフォローしたかったんだ。心からフォローしたかったんだよなあ。今までずっと耐えてきた社長に吠えたのは自分のためじゃなくて朱里を思って悲しくて怒りがこみ上げてきたからで、そんないつまでもどこまでも晶は晶なところがもう一周して愛おしくてたまらないし。とにかくみんな幸せになってよ!!って思わずにいられないよ。

役目を終えたかのように京谷(田中圭)の立ち位置はよく分からない感じになっているけれど、きっと京谷は京谷なりに最終回何かにちゃんと決着をつけるんだろう。何気に1番騒動が大きい呉羽(菊地凛子)も然り。

最終回に向けて一気に色々と巻き起こった9話であるが、個人的なハイライトは晶と朱里のこの会話。

朱「ずう〜っと1人で生きて行くの?」

晶「1人なのかな?」

晶「例えば 今は2人 私と朱里さん。さっきは3人でビールを飲んだ。お母さんじゃないけどお母さんみたいな人と『また飲もう』って約束した。会社の同僚と 仕事のことで一緒になって喜んで 女同士で1000回のハグ。この前は飲み友達の部屋で夜通しゲームして 朝のコーヒーを飲んだ。そういう 一つ一つを大事にして行ったら 生きて行けるんじゃないかな。1人じゃ ない。…んじゃないかな。フッ甘い?」

朱「ううん。」

朱「ありかも。」

晶「電気消すよ。」

朱「はーい。」

朱「それでも…。愛されたいな 私は。」

朱「おやすみ!」

会社、マスコミ、ワンマン社長、不正、搾取、色んなものに抗ってもどうにもならないちっぽけな私達が、それでも自分らしく生きるために試行錯誤していく。そんな中で抗えない一番大きい存在は「世間の目」だ。誰が作ったんだか分からないがとてつもなく強大な存在でいつもどこかでそれに見張られているような逃げても逃げても追い詰められるような…。そんなものに対して晶が出した一つの答え。1人でも孤独じゃないって。京谷と別れてしまったら自分の人生が終わるんじゃないかと怖くて仕方なかった晶が、恒星と出会い呉羽と出会い千春さん(田中美佐子)と出会い朱里と出会って、そうして手にした強さ。素敵なドラマだと思った。そしてそれに対比するように「愛されたい」とつぶやく朱里の切実さがその後の展開と相まって辛い…。

大切な物を守ろうとしてあえなく玉砕した晶と恒星は一夜をともにした。松田龍平の綺麗な背中に見惚れつつ、そういえばガッキーのこんな濡れ場みたいなの初めて見たなと思いつつ、「間違った?」の晶の台詞に間違ったの晶?と笑いつつ、兎にも角にも最終回が楽しみで仕方ないのである。