すききらい

主に連ドラたまに映画の感想(好き嫌い)を語るブログ。

フルーツ宅配便 1話 感想

密かに今期一番楽しみにしていたドラマ。デリヘルで働く女達の人生悲喜こもごもを雇われ店長咲田(濱田岳)の目線から描く。その人生悲喜こもごもが1話から並みじゃない。ゆず(内山理名)はDVの夫にあっつあつのアイロンを当てられ顔半分が火傷の跡でお岩さん状態になってしまっている。それだけでもう昼間の仕事に就くのは難しいだろうが、夫が勝手にゆず名義で借りた借金があるのだ。もうここしかないと誰もが分かる必然の上にゆずはデリヘルで働き出す。ごく一般の感覚しか持たない咲田は幼い娘を抱えながら風俗で働かざるを得ない彼女に当たり前のように同情する。本番をNGとするデリヘルで顔の傷というデメリットを補うために本番をさせちゃうゆずは早々にバレてクビになるが、咲田はゆずに自分の退職金100万円を返すのはいつでもいいと差し出すのだ。他にも出来ることはないかと優しさを見せる咲田にゆずはそれじゃあと引き出しから書類を取り出す。借金の保証人になってくれないかと切り出すゆずに戸惑いながらも借金の金額を尋ねる咲田は2000万と聞いて愕然とする。おずおずと100万円ともども退散する咲田は小手先の優しさではどうにもならないほどの圧倒的な現実を思い知る。「こんな話ここじゃ誰も驚かない。普通のことだよ。」そうミスジ(松尾スズキ)は言う。

なにもかもが淡々と描写されていき安易に私達の涙腺を緩まそうとはしない。この世界に生きる人達に同情は必要とされない。上手い言葉は見つからないが咲田と一緒にこの『フルーツ宅配便』で働く女性達を見届ける、そんな風に思った1話だ。