獣になれない私たち 1話
期待を裏切らない1話。
獣になれない私たち。マイルドなタイトルつけといてなんなのなにぶっこんでくるの。
野木亜希子脚本だから、これから松田龍平ターンも田中圭ターンも黒木華ターンも、なんなら田中美佐子ターンもじっくり見せてくれることだろう。
深海晶(新垣結衣)、名は体を表す、名前の通り深い海の底にズブズブだ。
九十九社長(山内圭哉)が「一番大事なのは視覚なんです。」と言うように印象的な台詞はほとんどなく、電車内で押しつぶされそうになり、タクシーは渋滞で進まず、バスは乗り過ごし、朱里(黒木華)のオンラインゲームではHPが減りまくりetc…と畳み掛けるシークエンスでもって晶の心情が表現される。一番象徴的なのは“食べる”シークエンスだ。晶が食べ物を口にする場面は一切ない。クラフトビールバーではただビールを飲み、社内では晶以外がもりもりと食べ、レストランでは京谷と京谷の母だけが食べる。晶は出社するとみんなのためにコーヒーを淹れ、これから残業をお願いするエンジニアにおにぎりを買って渡す。「アンナチュラル」で何度も強調されていたように、食べること=生きることなのである。
「バカになれたら楽なのにね。」
生きることに疲弊しきっていてもバカになれない全ての人達に捧ぐ愛と希望の物語が、きっとこれから始まるはずだ。
意を決して着た新しい服とブーツは全然似合っていない。
それでもいい。
見上げた呉羽が最高に格好良かったのだから。
着たい服を着る。
言いたいことを言う。
損ない続ける自分に対する自分への宣戦布告。
なんだろう雰囲気だけで色気だだ漏れ。
この松田龍平とあの新垣結衣のラブかもしれないストーリーなんて、楽しみ過ぎてたまらないじゃないか。