ビールを飲みながら

主に連ドラのこと、あと日々のこと、大好きなビールをお供に。

万引き家族 ネタバレするよ

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序盤からこの家族の不穏な何かを予感させる意味ありげなシーンやセリフがいくつかあり、観客は薄々と後に明かされる真実に気付きながらこの家族の行く末を見守ることになる。

貧しくても明るくさばさば。一見するとそう見えるが全然そうではない。家族は皆それぞれ欠落している。生きることに疲弊している。だからこそ寄り添い合わずにはいられない。しかしベランダに置かれた少女を連れ帰ったその日から、少しずつ家族それぞれに変化が訪れる。それぞれが自分の役割を確固たるものにしていく。それぞれがそれぞれを救い救われていく。いびつながらも本当の家族になっていく様子が丁寧に描かれていく。長男11歳の翔太も、守るべき存在の妹りんを得ることで大きく成長していく。そうして必然的に万引きという行為について疑問を持ち始めた時、万引き常連店の店主からある一言を告げられる。そして…。

 

ここからネタバレ含む感想です↓

翔太の成長物語であり、人間に必要なものは何かという根本的な問いかけでもあり、純粋な家族の物語でもありました。

樹木希林さん凄いです。どんなに年齢を重ねても、入れ歯を外した姿を晒すことが出来る役者さんというのはどれくらいいるのだろう。もちろんそれだけではなくて、悲哀も醜さも愛も全て体現されていました。凄いです。他のキャストの皆さんも本当に凄いですが、私が心に残ったシーンは、松岡茉優池松壮亮の対面シーンとリリー・フランキー安藤サクラの久しぶりHシーンと刑務所での安藤サクラと翔太の再会シーンでした。

池松壮亮はあの少しのシーンでどれだけ観客の心をずしんとさせたのかな。松岡茉優の表現も凄まじく。「…自分は生きていていいのか?」おそらくずっとそんな風に自問自答しながら生きてきたんだろう。同じ悲しみを抱えた二人。池松壮亮を肯定することで松岡茉優自身も肯定されていく。いいシーンだった。

リリーさんと安藤サクラが何年ぶりなんだろ?にSEXするシーンは、安藤サクラの裸体の綺麗さもさることながら、リリーさんの「俺、できたなー」って言うときの背中の表情がもう…。そして2回戦目に突入かっていうときに子供達が帰ってきたときの慌てぶり。あの慌てぶりだけでこの夫婦がどれだけ子供達を大切にしているかがわかる。

最後の方、収監された安藤サクラと長男翔太が対面する場面。母親として、翔太の幸せの為に真実を淡々と話すシーンには涙が止まらなかった。翔太とリリーさん最後の夜、「僕を置いて逃げたの?」という翔太の問いかけに「ごめんな。今日で父さんは終わりにする。」とリリーさんは答える。見捨てたのか、後でどうやっても連れ戻すつもりだったのか、それは分からない。別れのとき、わざと捕まったんだと告白する翔太、バスを追いかけ続けるリリーさん、振り返る翔太。そこにある姿は家族以外の何物でもないんだよなー。

映画の最後、じゅり(りん)は放り出されたマンションの廊下から何かを見つめる。私はじゅりが一度そうしたように、いつか必ず自分自身の手で未来を選びとる、そんな風に感じさせるラストなのかなと思いました。

大切にされること。心も体もぎゅーっと抱きしめてもらうこと。簡単にそれが愛だとは言えないけれど、そんな記憶が心を強くする、未来を生きる力になる。またはそれを与えること。与えることは同じく生きる強さになる。親でもいいし親じゃない他人でもいい。自分の子供でも自分の子供じゃなくてもいい。貧困や虐待などの社会問題を扱ってはいるけれど根本的に伝えたいことはそんなことなんじゃないかなと思う。

書き足りないことだらけだけど、まとまらないので終わるかな。良い映画でした。