大恋愛〜僕を忘れる君と 8話 感想
前半に比べると少し停滞気味の後半。物語に緩急をつけるために登場した松尾(小池徹平)も随分中途半端なままあっさりと退場してしまった。連ドラを最初から最後まで面白く観せるのは本当に大変なことなのだと思う。そりゃそうだよな。0から人間の人生を作り出して尚且つポジティブでもネガティヴでもとにかく面白い出来事が起き続けなきゃいけなくて、しかもある程度リアリティがないといけなくて…。作り手の方々には頭が下がります。ちょっと停滞するくらい、ちょっと不必要な喧嘩エピソードが入るくらい、そんくらいで文句を言っちゃいけないのである。
ということで、無駄に水野(木南晴夏)が尚(戸田恵梨香)と真司(ムロツヨシ)の家に入ろうが、それが元で無駄に2人が喧嘩しようが、それで良いのだ。喧嘩のエピソードで尚の孤独感や寂しさがより一層強調されたし、松尾との話の下りで尚が機転の利くとても頭の良い人間であることが改めて分かったしそんな尚が何もかも忘れてしまうということの何ともいえない恐怖と悲しみが伝わったし。前回では忘れられていく思い出に真司が打ちひしがられていたが、今回でやはり1番辛く苦しいのは誰でもない尚なんだと真司の目を通して視聴者も実感したのだ。
次週は2人の赤ちゃんが登場するようで、薫(草刈民代)と侑市(松岡昌宏)も既に付き合ってる風味だったような。毎度毎度思うけれどこのドラマ、予告のサービス精神旺盛過ぎじゃないですかね。
あと2回。真司は続編を本当に「もういちど第1章から」にするのだろうか。その題名微妙だよね?紆余曲折あって「大恋愛〜僕を忘れる君と」になるんだよね?地味に気になる案件だが、そんなことより尚の人生、真司の人生を余計なエピソードは挟まずにしっかりと観せて欲しい。
獣になれない私たち 8話 感想
恒星(松田龍平)メインの8話。Yシャツの袖をまくるだけでなぜあんなにセクシーなのか。ストーリーがどうのこうのより松田龍平を思う存分堪能できて大満足だ。
いやストーリーも加速度的に面白くなっている。個人的にはずん飯尾じゃなくても良かったかなぁとは思っているがそれはさておき。恒星と陽太(安井順平)のエピソードを通してさらりとしかし真摯に描く福島に住んでいた人々の今。もう住めないくらいに荒れ果てた家の解体。破壊と再生というにはあまりに悲しい陽太の現実。再生はそんなに簡単にできることではない。夢を持てなんて成功者の戯れ言。それでも陽太が家族と再会する場面に感じる少しの希望。バスの中で泣く恒星(ここの松田龍平のお芝居が最高だ)。自分の問題は何も解決していない。しかし不器用でずっと上手く接することが出来なかった家族を兄を思ってただ泣くのである。行き場のない怒りはきっともう消えているのではないだろうか。
晶は爆弾を胸ポケットに入れ仕事を続ける。京谷との別れは大きな決断だったとしても晶は特に大きく変わったわけではない。それでもラーメン屋で陽太と交わした会話は、損な性格だよねでもしょーもないよねこれが自分だから、とやっと自分を受け入れているように見えた。人間そんなに簡単には変わらない。だからそのままの自分を受け入れる。とても難しいけれどそれが出来たらとても強い。そうして晶は昔は欠点だと思ってた自分の特技(相手の気持ちを考えられる)をどんどん活かしてツクモ・クリエイト・ジャパンをみんなが働きやすい会社に変えてしまうのだろうか。楽しみだ。朱里(黒木華)も何気に楽しみだ。京谷(田中圭)もただ鳩が豆鉄砲を食った顔では終わらないはず。京谷のこれからも気になる。が、やっぱり晶と恒星の今後でしょう。眠っている晶を窓越しに見つめる恒星。もう気軽に手を出せる存在ではなくなってしまった感。最終回間際にやっとラブのターンかと期待させるけれどまだまだ分からない。生地や糸の面白い話を恒星はたぶん呉羽(菊地凛子)から聞いたことはないだろうが晶が胸に秘めた退職届は知っている。そんな大切な関係に果たして2人は気付けるのか。来週も待ち遠しい。
中学聖日記 8話 感想
ゾクゾクした8話。すれ違ったまま終わると思ったらフェリーに乗り込んじゃうなんて。最終回がどんどん予測出来なくなっていく。面白い。
「僕なら 過去をなかったことにはしない できない 起きたこと全部大切だから 忘れません」
こんなこと言われたらもうだめだ。なかったことになんて本当はしたくない。なかったことに出来ない小さな町で、周囲の目に晒されながらもダメな自分と向き合って進もうとする美和(村川絵梨)を見て聖は逃げないと決めたんだろう。噂は真実と告白する聖。しかしやっちまったのである。小学校は大混乱に陥る。保護者にわかってもらうのは至難の技だろうな。聖はどうなってしまうんだろう。
聖に付き合っている人がいると聞いて晶は焦燥感とイライラがおさまらない。早く大人になりたい。ただそれだけなのに叶わない。もどかしくてたまらないだろう。追い打ちのように上布(マキタスポーツ)とのやり取りがあって晶は家を出る。聖にお別れを告げて。父親のいる島へ。とにかく色んなことがもやもやして仕方がない晶がなんともいいのである。このもやもやを経て最終回にどんな表情を見せてくれるのかが本当に楽しみだ。
勝太郎(町田啓太)と原口さん(吉田羊)も相変わらず良い。勝太郎は聖とのことで深く傷付いていたんだなぁ。離れても大丈夫なように籍を入れたいなんてなんか切ない。聖を引きずっているわけではないのは分かるけれど原口さんはそんな勝太郎をどんな思いで見つめているんだろうな。原口さんの本心が分からない。分からないけどとにかく幸せになって原口さん。
次週は聖と晶が一緒にいる場面を沢山見ることが出来そうだ。このまま何もかも捨てて…なんて流れには絶対にならないと思うが、どんな風に物語が進むのかは全然分からない。来週も楽しみだ。
僕らは奇跡でできている 8話 感想
一輝(高橋一生)と山田さん(戸田恵子)にほぼほぼ費やした8話。関係性を再構築しない再構築をじっくり観せてもらった。山田さんが4歳の一輝を置いて温泉から帰れなかった気持ちが私は痛いほど分かる。というかメインで子育てした親(ほとんどがたぶん母親)なら、同じ行動は取らないけれど気持ちは分かる人が多いだろう。真面目にすればするほど、子供の将来を考えれば考えるほど追い詰められるのが子育てだ。余談だが、あなた絶対にメインで子育てしたことないよねっていう育児評論家の人達の意見がテレビで垂れ流しになって世の中の親達を苦しめちゃうの本当やめてほしい。理想論で子育て出来たらだーれも苦労しないのである。大富豪で手持ちのカードで1番強いのクイーンの状況で、2を3枚持っててジョーカーも持っててなんなら3も4枚ありますみたいな人と対等に勝負しなきゃいけないようなもんである。そもそも大富豪なんてしたくないのに。育児におけるカードは例えば“社交性”とか“辛抱強さ”とか“家族の協力”とか“子供の育てやすさ”とか色々あるだろう。だいたいの人は持ってエースを1枚とかキングを2枚とかなのである。今流行りの“自己肯定感”なんかは間違いなく2である。そんなカード持ってる人の方が少ないのに評論家の意見や育児書では自分も自己肯定感持たなきゃいけないし子供も自己肯定感持つように育てなきゃいけないしでもう大変すぎるのである。そんな中、ありのままでいいよ、そのままのあんたですごいとこ100個あるよと言ってくれる本作が私は好きだ。
余談が長すぎたが、そんな風にして居なくなって11年後に家政婦として山田さんは戻った。なぜ自分を産んだ人が家政婦と名乗ってずっと自分と暮らしているのか。その謎が解けないまま、まいっかと過ごしてきた一輝が真実を知る。2人の間にある揺るがないものを信じて真実を告げた山田さんと2人の間にある揺るがないものを信じて犬だの猫だの分類なんて重要じゃないと言う一輝。素敵な関係だと思うし家政婦でも母親でもいいというのは、血の繋がりがあってもなくても親でも親じゃなくても、愛があれば何でもいいんだと全てを包んでくれる言い方で作り手の心意気を感じた。
育実(榮倉奈々)は鳥飼(和田琢磨)にやっと本当の気持ちを言うことが出来た。やり直すのではなくしっかりとお別れをするという結末だったけれど、一歩踏み出した育実はこれまた素敵だった。
次回は一輝と育実の関係に何か変化が起こるのかな。個人的にはユーチューバー(どう見ても沼袋)が物語にどう関わってくるのかが気になります。
映画館に映画を観に行ってほとんど観ることが出来なかった経験を初めてした。
初めて映画館で映画を鑑賞中に中座する経験をした。せっかく子供を寝かしつけてからウキウキ観に行ったレイトショーだったのにあんまりだ。観た映画は「億男」。私の大好きな高橋一生がメインキャストに名を連ねる映画である。
中座の原因は色々あるが、この映画自体にも若干の責任はある。開始30分で恐ろしくつまらなかったのである。あくまで開始30分での話で全編通してはほとんど観れていなかったので映画全体が面白かったかどうかは分からない。
とりあえず開始30分でつまらなくて集中力が切れてきたとともに猛烈な腹痛が襲う。夜ご飯に食べたチキンカツが原因なのか。揚げ物は危険だったのか。最近めっきり弱くなった自身の胃腸に問いかけると「これが答えだ」と言わんばかりにお腹がギュルギュル言っている。必死に耐える。それはもう必死に耐える。そうしてやっと落ち着いてきたと思ったのも束の間、突然咳が出始める。映画館で咳はいかん。いかんいかんと思えば思うほど止まらない。く、苦しい。手で口を押さえて咳を止めようと試みるも止まらない。確かにやたら空気乾燥してるなあとは思ってた。思ってたけどまさかこんな事態になるとは思わないじゃないか。…ああもう無理これ以上ゴホゴホするわけにはいかない。諦めて一旦シアターを出る。一通り思い切って咳をしたところで、そうだついでにトイレに行こう。小休止している腹痛がいつまた復活するかわからないし原因除去してすっきりと戻ろう。待ってて高橋一生。
…うそでしょ。なんでトイレ入った途端にこんなに下り出すの?痛すぎるのに出ない。出ないのに痛すぎる。どうすりゃいいの?高橋一生が砂漠で落語始めちゃう。始めちゃう前にシアターに戻りたいよ?…無理。無理そうだよ。全然トイレから出れなそうだよ。えーとスマホ。スマホスマホ。10分も経ってんじゃん。痛い。痛いよ高橋一生。私なんでこんなことになってるんだろう。
15分くらいトイレにこもり、ようやくシアターに戻る。もちろん話がどうなってるかいるか全然分からない。シアターを出るときに登場してた沢尻エリカの姿はもうどこにもない。まあいい。とりあえず砂漠で落語はまだそうだし。よいしょと腰を据えてスクリーンに集中しようとしたその時。どんだけ乾燥してんだよシアター内はよ!!トイレにこもってたときは一度だって咳なんか出なかっただろうがよ!!…どうにか砂漠までは。どうにか…!!咳をこらえるのに必死過ぎて内容なんて全く入ってこない。ようやくきた高橋一生の砂漠の芝浜。…うっそん。一生さん、序盤の芝浜の方が良い出来じゃないですかね?そうかクランクインがモロッコだったもんね。撮影は砂漠の芝浜が先で序盤の芝浜が後か。渾身の芝浜のはずだったけど、まあいいや。最後まで観よう。お金にまつわる物語、最後にどんな風に締めくくるんだ…っああ苦しい。なぜしちゃいけないと思えば思うほど咳がしたくてたまらなくなってしまうんだ。…え?終わったの?BUMP OF CHICKEN流れてるから終わったの??お金にまつわる物語終わったの??
とりあえず今回私が学んだのはお金の話ではなく健康の話。健康第一。体調が良いって最高。次回は体調万全で行くからね。待っててね高橋一生。
大恋愛〜僕を忘れる君と 7話 感想
辛くなってきた展開の7話。松尾(小池徹平)が怖すぎる。失うものが何もない怖さ、太刀打ち出来る相手じゃない感がすごい。それでも頑張って欲しいよ真司(ムロツヨシ)。
以前、新薬の治験は「レナードの朝」的な展開を想起させるということを書いたが、症状が進行して治験対象外なんて、まさかそれ以前の展開になるとは。進行した尚は通った道も真司と共に過ごした古アパートも覚えていない。一緒に過ごした思い出がどんどん失われる恐怖に打ちのめされるのは尚ではなく真司だという現実。何が起きても僕が尚を守るよ的なスーパーヒーローではなく真司はいちいち脆くて弱い。でもそこが人間的ですごく良いのだ。弱い自分で病気の尚と向き合っていく。それを小説にしていく決意を真司はするのである。
「人生は不思議だ 最悪の日に 最高の未来が見えることもあるのだと 僕は知った」
尚は真司との子供を作ることを決める。少しでも長く子供と3人で平和な暮らしを持てたら…。どうかどうかその願いが叶いますようにと願わずにいられない。
侑市(松岡昌宏)は薫(草刈民代)の弱音を聞いて、思いがけない気持ちになったようだ。この2人の関係が物語にどんな幸せな色を添えるのかも楽しみだ。
これからどんどん辛い展開になっていくのだろうが、悲しみだけじゃなくてその先にある本当の幸せを描ききってくれるはずだ。来週も楽しみに待ちたい。
獣になれない私たち 7話 感想
ずーっと辛抱して観てきて良かった7話。こんなに長く停滞した晶(新垣結衣)を見てきたからこその爽快感。いや爽快感という言葉とは少し違うような気もするが他に良い言葉が思い浮かばない。とにかくやっと踏ん切りがついたのだ。京谷(田中圭)のマンションを明け渡すという何とも後ろ向きな微妙なモヤモヤな踏ん切りの付け方の後だからこそ余計に晶が気高くそして清々しい。
朱里(黒木華)は自分でも何やってんだか分からないおバカさんの境地に立ち、やっと自分の足で歩き出しそうだ。朱里と晶は同じ。そう晶に言われたことが腑に落ちたのか何なのか。朱里は晶の勤めるツクモ・クリエイト・ジャパンに履歴書を送る。何この面白い展開。
毎回毎回観てるのがしんどくてしんどくてたまらなかったけれど、人生で初めて愛されていると実感出来たのが京谷だったっていう晶の言葉で納得した。人生を捨てるのと同じくらいな京谷との別れに必要な時間を丁寧に描いた。恒星(松田龍平)との関わりで、言いたいことを言い合える恒星との関係性を土台として、呉羽(菊地凛子)や朱里や千春(田中美佐子)との関わりを通して、少しずつ晶は京谷と離れる勇気を持てたんだろう。相模湾と若狭湾は似てるようで似ていない。千春と晶の決定的な違いに気付かない振りしてた晶が、千春の気持ちを代弁することによってその違いに自覚的になっていく流れが秀逸だった。そうして実際の相模湾を見ながら晶は別れを決意する。そして千春の気持ちを代弁する流れには呉羽の「人の気持ちを考えられるってすごい能力、使い方によっては武器になる」って言葉の後押しがあった。全てのことに意味があった。やっぱりすごいな野木脚本。
さっぱりした晶がどうなっていくのか、ツクモ・クリエイト・ジャパンの未来は、恒星の300万案件がどうなるのか、そして橘カイジは出てくるのか、全ての流れに意味がある野木脚本の今後が断然見逃せなくなってきたのである。